“原子力(フランス):アレバ社の自閉症” 仏メディアパール誌全訳 3月30日付


2011年3月30日 マルティンヌ・オランジュ

なんと言う政治的感覚の持ち主なのだろう!日本が過去最大級の原子力事故に直面し、福島原発の責任者である電力会社の東電による不正や管理不備の証拠が蓄積している今、長期的な安全よりも眼前の3ヶ月の収支に意識を取られているようだ。世界中で原子力エネルギーについての議論が再燃している今日、この分野での最大のプレイヤーであるアレバ社の最優先事項は何か?それは自社の株式上場だった。

アンヌ・ロベルジョン© Reuters

月曜日に、アレバ社の監査審議会は自社の素早い上場の予定を中止した。木曜日にはアレバ社株の72%を保有し公共の利益を代表するフランス原子力庁(CEA)はこのプランについて議論するために集結するはずだった。この機会に株式を15%譲渡することを検討していた。公式の手続きが完了すれば、アレバ社は7月には上場する手はずを証券取引所と整えると説明している。

どうしてフランスにおける原子力の今後の利用について再検討すると誓ったフランス政府はこのような計画を許容しているのか?エリック・ブソン(産業相)率いる産業省はこの質問に対して、たらいまわしを行っている。「その件についてはアレバ社に聞いてください。」と産業省のスポークスマンが回答した。アレバ社に問い合わせると今度は政府に丸投げした。「この予定について弊社は責任をもっていません。政府がそのように動いたのです。いずれにせよ、これは手続きに過ぎません。つまり大きな影響は持ちません。」とアレバ社の広報担当は言う。

大きな影響がない?公式には全株式の4%ほどの投資実績の証明書(議決権なし)を公開株に変換することに過ぎない。ただ、株式公開の規模がどれほど大きいとしても、この上場は重い意味をもっている。上場した瞬間からさいの目は放られるのだ。国家はその時から何も介入することができなくなる。アレバ・グループの戦略決定は金融の専門家が主導し、方針を決定するようになる。そうした経営戦略家は、日本で現在見られるように、有事の際には躊躇することなく立ち去り、世論にすがって保身を計るようになる。

アレバ社を完全なる私企業に変換し、グループ内の意思決定をその手中に収めることはアンヌ・ロベルジョン社長(CEO)にとっては10年来の執念となっている。彼女がグループのトップの座を維持し続けていることも、幾つかの個人的な優位条件を省いて考えても、その執着を物語っている。何度も彼女には目的を達成したと思える瞬間があった。しかしその度に、最後の一歩でその計画は挫折してきた。今回はやっと成功しそうだとアレバ社の総裁は考えている。なぜならば昨年12月にアレバ社が資金調達を行った際にフランス政府が直にクエート政府公式のファンドであるクエート投資機関(Kuwait Investment Authority, KIA)と交渉をしたという決定的な後押しを得たからだ。

この昨年末に急速に決定された奇妙な資金調達について立ち戻って説明しなければならない。何ヶ月にも渡ってアレバ社は20億ユーロ(115¥=1ユーロ換算で2,300億円)のキャッシュを手にするための資金調達のプランについてばかり話をしていた。多くの投資家がアレバ社に殺到し、アンヌ・ロベルジョンにこの計画に参加したいと伝えた。そして何ヶ月後かには投資家候補たちは消えてしまった。日本の三菱グループは投資を行う前にアレバ社の戦略をもっと明確に聞きたいと伝えた。そして最後の盟友として期待されていたカタール政府のファンドも資金調達から降りた。カタールのファンドは会計監査報告を受けて、アレバ社の時価総額は120億ユーロ(1兆3800億円)ではなく80億ユーロ(9200億円)であると査定した。そしてこのファンドはアレバ社の未来について余りにも多くの疑問を抱いたため、この計画には鉱業の分野から参加したいと申し出た。この条件はアレバ社によって拒否された。

この悲劇のなか、クエート政府のファンドという新しいパートナーが見つかった。クエートのファンドは6億ユーロ(690億円)を拠出し、フランス政府は3億ユーロ(395億円)を払う、という当初にはない計画が進められた。しかしこの新しいキャッシュの転送が行われた条件を調べると、これは偽装的な投資であることが分かった。KIAはアレバ社に対して2011年の第一期の終わりに上場することを求めた。そして上場が2011年9月30日に実現しなければ、フランス政府は利子付きでKIAの投資分の株式を買い戻さなければならない。簡単にいえばKIAはアレバ社に金を貸し付けたということに過ぎない。

なぜフランス政府はこのような条件を受け入れ、一般金融市場で投資ファンドがプット(指定期間内の指定価格での「売り付け」)を行うことを受け入れたのだろうか?答えは単純である。それ以外に選択がなかったのだ。まず、現政権は公約通りに2010年末までの公共財政赤字が1,500億ユーロ(17兆2,500億円)を超えないようにあらゆる手段を講じる必要があった。会計上、国庫は全て一カ所に集められて、支出報告がねつ造された。その時、アレバ社に3億ユーロを投資することなどできなかった。そしてもう一方ではアレバ社は早急にキャッシュを必要としていた。アレバ社の経営状況は悪化の一途をたどっており、信用格付け機関のムーディースはアレバをネガティブ(弱含み)とし、その財務体質の脆弱性から格付けをジャンク・ボンドに落とすとさえ警告した。これは国家のバックアップを受けるアレバ社にしては初めての状況だった。

一体どうやってアレバ社は、財務大臣も認めたように、18ヶ月間で67億ユーロ(7700億円)(そのうち40億ユーロは2010年だけで達成)もの株式を売ったにも関わらず、経営破綻に直面しようとしているのだろうか?この謎についてはアレバ社の会計情報の公開にともなって部分的な説明がもたらされた。これはつまり資金の移動として説明できる。鉱業事業の過大な評価と不適切でさえある多額の投資、フィンランドの建設事業会社EPRの30億ユーロもの赤字(初期契約の半額に相当)、風力発電事業の度重なる失敗。。。アレバ社ではどの事業も正常に進行していない。2010年末にアレバ・グループは4億2500万ユーロの事業赤字を報告したが、サブプライム以来の不景気はアレバ社の体裁を繕い、純益の増大を可能にした。

フランス政府はこのような事態を目にして、他に有効な手だてを打ち立てられないまま、クエートの投資ファンドの条件を呑まざるを得なかった。そして現在、その義務を果たすように言い立てられている。もっともクエートのファンドがその時期的な条件の遵守を最も望んでいるかのどうかは分からない。現在の日本の状況を省みても、アレバ社は置いておいても原子力エネルギーの未来は不確定なものとなっている。こうした不安や疑問はアレバ社が上場する際に明確な形を取るだろう。7月末までに上場できなければ、株式公開によって得られる利益はフランス政府による買い戻し額よりも遥かに少なくなってしまうからだ。

フランス政府はこれまでと同じように何の方針も持ち合わせていない。金融経済省は喫緊に行うべきことはクエート・ファンドに押さえられている担保を解消することだと述べている。何人かの幹部は、上場の予定を変更することを提案している。国家が原子力政策をゼロベースから再考しなければならない今、市場に主導権を渡すべきではない、と彼らを言う。

アレバ社は金融経済省の権威によりかかりながら、上場の予定を変更するつもりは全くないと表明している。長年の夢がようやく実現しようとしているのだから。そうすればアレバ社に対するこれまでの非難から解放される、と。世界で起こっている出来事を直視せず、その確信と計画の中で心を閉ざし、大きな変革の流れから身を守るこの企業は、長いこと公共の利益よりも私領域の利益を優先してきたフランス的エリートの象徴に過ぎない。

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