「原子力依存からの脱却は”中世への逆行”?そんなことはありません、サルコジさん。」仏Rue89, 記事全訳


出典記事: http://www.rue89.com/planete89/2011/05/03/sortir-du-nucleaire-cest-le-moyen-age-faux-m-sarkozy-202353

グラヴリンヌ原子力発電所でのニコラ・サルコジ、2011年5月3日(デニス・シャルレット/ロイター)

グラヴリンヌ原子力発電所でのニコラ・サルコジ、2011年5月3日(デニス・シャルレット/ロイター)

グラヴリンヌ(仏北部)の原子力発電所への訪問に際し、ニコラ・サルコジ大統領はフランスの持っている原子力ノウハウを擁護するために全精力を注ぎました。その中で彼は原子力反対論者を侮辱し、現実とそぐわないことも話しました。以下にその発言の検証を行います。

これらの発表に対して、ヨーロッパで最大の原子力発電所の取った選択には、何か奇妙なことがあります。事実、1980年に運転を開始したグラヴリンヌ原発は、福島原発のように海沿いの発電所であり、6つの原子炉を抱えており、そのうちの5つの原子炉はMOX燃料で運転されています。近隣の住宅地区の存在、そしてセヴェソ規定(訳注:大規模災害のリスクを抱える産業施設の指定と情報公開を定めるEUの指令)を受けている事実は、この原発がとても敏感な立場に立たされていることを示しています。

フランス原子力安全局の部長であるフランソワ・ゴダンは、グラヴリンヌはフランスの施設の中でも「少し特別なケース」であると認めています。彼は、グラヴリンヌ原発が2010年に34の検査(そのうち4分の1は抜打ち検査)を受け、施設の安全性は「EDF(フランス電力公社)施設の平均的」な水準にあると想起しています。昨年は国際基準INESでレベル1の安全性の4 件の支障が確認されました(全施設では74件)。

2012年の大統領選に向けて既に活動しているように見える大統領は、検証に値するいくつかの宣言をしています。下記に詳細をまとめます。

►ニコラ・サルコジ:「私は我が国の原子力産業およびEDF技術者のノウハウに対する、フランスおよびフランス人への信頼を強く表明したいと思っています。国家元首の名の下に、私は施設の安全性に信頼を置いています。私は原子力を非難するために選ばれたわけではないし、このことは今後も問題にされないでしょう。

確かに、大統領は原子力の問題で選ばれたわけではありません。しかし、福島以降、原子力エネルギーに対するフランス人の信頼は少々揺らいでいるようです。矛盾する二つの世論調査が同時に公開されたことが思い出されます。

  • 一つは(TNS-Sofres)はEDF主導による調査で、それによると、フランス人の「55%がフランスでの原子力発電の生産を放棄するように求めるエコロジスト達に賛成していない」としています。
  • もう一つ(Ifop)は、ヨーロッパ・エコロジー/緑の党(Europe Ecologie-Les Verts)主導による調査で、「フランス人の70%が原子力からの脱却に賛同している」というものです。

►ニコラ・サルコジ:「日本で起こった津波が原因で、フランス国の強みについて再検証しなければならないのでしょうか?…それは過去の否定、中世時代に逆行するような選択です。

エコロジストたちは、彼らをあたかも「ろうそく台」の擁護者と見なすかのようなこうした言葉によって「侮辱された」と言っています。たとえ、フランスが日本のように地震断層の上になくとも、それでも首相は原子力安全局(ASN)に耐震テストを遂行するように依頼しました。その計画の文書は以下の通りです。

「これらの監査は洪水、地震、電気供給の喪失、冷却装置の喪失、そして事故時における運用管理に際するリスクの5つの点について調査を行うものである。」

原子力反対論者によればこれらに加えて飛行機の墜落やテロリストによる攻撃のリスクもまた分析されなければならないとされますが、それらは公式的には問題とされていません。

グリーンピースで原子力キャンペーンを担当するソフィア・マジノニは、「”過去”とは、”40年以上前の石油危機に対して取った選択”を取り続ける人たちを指します」と答えています。

►ニコラ・サルコジ: 「原子力産業に今後とも投資が行われ続けるのだということを理解してください。もし私がフランスの全ての原子力施設を閉鎖するという愚かな決断をしたら、450億ユーロをどこかから探し出してこなければならないのです。

原子力からの脱却を推進する人々も含めて、誰も明日フランスの全原発を閉鎖するなどということを想定していません。ネガワット協会 (訳注:持続可能な節電を訴える協会)が練り上げたシナリオは、全施設の閉鎖には40年かかると推定しています。核燃料廃棄物の処理の問題が解決されてないばかりか、このようなシナリオの全体的なコストは慎重に検討されるべきで、少なくとも数十年間に渡る出費となるでしょう。

この道において我々よりずっと進んでいるドイツでさえ、コストの見積もりが困難を極めています。

►ニコラ・サルコジ:「フラマンヴィルの建設工事現場を止めることは考えられません。最も安全な発電所の計画を止めるなどというのはおかしな考えです。

大統領は、チェルノブイリ後に独立した機関として創設された原子力安全局の局長の発言に対する答えとして上記の発言をしました。アンドレ・クロード・ラコスト局長は議会における福島以降の対処の議論の際に、こう証言していました。

「もし(原発の)一時停止という議論が生じるのであれば、そして我々はそれを実際に提起しますが、それはフラマンヴィル3号機の建設に関してということになります。」

フラマンヴィル3号機はまさに第三世代原子炉のEPR(ヨーロッパ型加圧水型炉)であり、現在100億ユーロの費用でラマンシュ県に建設中です。それは正にフランス原子力産業の誇りを象徴しています。 さて、核エネルギー分野の独立の専門家であるマイケル・シュナイダーが指摘したように、フィンランドでの(アレヴァ社による)EPR原子炉の建設計画は「財政上の大失敗」であり、その「4年の遅れと少なくとも90%もの予算超過」を非難しています。 さらに、ASN(仏原子力安全局)は最近アレヴァ社に、原子炉格納容器の蓋の溶接を再検討するよう要請しました。原発を停止する権限を持つのはASNであり、大統領ではありません。

► ニコラ・サルコジ:「我々は唯一原子力エネルギーだけを望んでいるのでしょうか?いえそうではありません。我々は原子力と再生可能エネルギーを望んでいるのです。そして我々は、再生可能エネルギーにも大規模に投資していくでしょう。

国家予算は無限に拡張されず、二つの分野に大規模に投資することはできません。さて、これまで問題にされることはなかった公共政策の支出を振り返ると、原子力分野は明確に優先的に扱われています。2010年の予算では、11.3億ユーロの研究開発費は次のように配分されました。

  • 原子力:7.61億ユーロ
  • 石油・天然ガス:1.78億ユーロ
  • 再生可能エネルギー:1.9億ユーロ

太陽光発電や風力発電の産業は、もっと安心できる未来を想い描けるように、依然として大統領の言う「大規模投資」を待ち望んでいます。

記者:ソフィ・ヴェルネー・カイヤ, Rue89
2011/05/03


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「原子力依存からの脱却は”中世への逆行”?そんなことはありません、サルコジさん。」仏Rue89, 記事全訳 への1件のフィードバック

  1. Iroki より:

    すばらしい記事をありがとう。私はフランスの脱原発を支持します。フランスは民主主義国家です。期待しています。
    Je suis liber France en Japon, Merci beaucoup!

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