仏CRIIRADレポート「大量の、長期的かつ広範囲な汚染」7月7日付全訳


CRIIRAD (放射能 に関する調査および情報提供の独立委員会)
福島第一原発事故が日本にもたらした影響について
大量の、長期的かつ広範囲な汚染

原文:http://www.criirad.org/actualites/dossier2011/japon_bis/pdf/11_07_07_cp_fukushima.pdf

2011/7/7 発表
於 フランス ヴァランス

CRIIRADの研究室は2011年5月24日から6月3日まで日本へ派遣団を送った(*1)。この文書は、最初の分析結果で確認できたことのまとめである。地上における放射性セシウムの堆積は非常に多量であった。この堆積物は現在も将来も、長年にわたってガンマ線を流し続け、非常に広範囲にわたって、住民が被ばくする。防護の手立てもない数十万人の住民が、外部被ばくにより、年間1mSvの制限を大きく上回る放射線量にさらされている。これに加え、内部被ばく(とりわけ汚染食物の摂取による)や、何よりも3月21日以降に受けた被ばく量が加わる。後者については、ほとんど防護手段がなかったため、最初の一週間の被ばく量が極度に高いものであったと思われる。

*1: 調査の第一報は、福島(5月30日)と東京(5月31日及び6月1日)で開かれた記者会見で発表され、CRIIRADのサイトにある報告書(英語)でも公表されている。http://criirad.org/actualites/dossier2011/japon_bis/en_angkais/criirad11-47ejapan.pdf

  1. 60km圏外の深刻な汚染:福島市の例

許容レベル以上の外部被ばく

福島第一原発から60-65kmにある福島市でCRIIRADが行った計測や、土壌分析の結果、放射性セシウム134、137の降下物は、森合小学校の芝生で数十万Bq/m2から49Bq/m2、渡利地区で70Bq/m2以上であった。

原子核崩壊の際、セシウム原子は非常に透過性の強いガンマを放射する。この放射線は空中を60m以上にわたって飛ぶのであるが、この性質を利用して、アメリカはヘリ探査機を使って降下マップを作成した。この放射線は住居の壁や窓も透過し、家にいる住民も被ばくする。

2011年5月下旬、CRIIRADが福島市の屋外、地上1mで測定した線量は、通常値を10倍以上、さらに20倍以上も上回る典型的な数値であった(時間当たり1から2μSv以上)。建物の上の階でも線量は検出可能である。ある建物の4階(訳注:日本で言うと5階)で計測を行ったところ、高い線量が測定され、窓に近づくほど(閉めてあっても)高くなっていた。渡利地区の個人宅でCRIIRADが計測した結果、子供部屋の畳の上で通常の3倍以上の線量(毎時0.38μSv)、リビングでは1mの高さで6倍以上(毎時0.6μSv)であった。家の前では、庭で毎時2.2μSv、近所の学校の芝生で毎時2.9μSvであった(地上1m)。

この線量はとても緩慢にしか下がっていかない。主な原因として、セシウム137と134の半減期が長いということが挙げられる(それぞれ30年と2年)。つまり、セシウム137の放射能は、30年後に1/2になるということである。今後12カ月間、セシウム134の放射能は30%セシウム1373%のみの減少と予想できる。空間線量の減少は、数十%にとどまる。

何の手だても講じられない場合、福島市は今後12カ月で数ミリシーベルトの外部被ばくを受ける可能性がある。そして、CIPR(国際放射線防護委員会)が発がんリスクの観点から設けている許容値というのが年間1ミリシーベルトであり、この線量を浴びた10万人のうち5人が死に至るとされる。

ところが日本政府は、住民を長期避難させる基準として、20ミリシーベルトの制限を設けた。これは、発がんリスクの点では、許容値を20倍上回るものである。福島市の住民はすでに、かなり被ばくをしている分、事態はさらに深刻である。同時に、汚染食物摂取による内部被ばくや、汚染された地上から出る埃の吸い込みによる危険性も考慮にいれる必要がある。

一例として、CRIIRADが福島市の森合小学校のブランコ下の土を測定したところ、セシウム134、137による汚染が37Bq/kgであった。この土壌はもはや放射性廃棄物であり、早急に相応の場所に保管されるべきである。

住民はすでにかなりの被ばくを受けている

20115月下旬にCRIIRADが福島市内で採取した土に含まれるヨウ素131による残留汚染から、当初のヨウ素131の降下は数百万Bq/m2であったと算定される。

ヨウ素131の半減期は8日、つまりその放射能は降下時には600倍以上であった。このことから、特に2011年3月15日の、放出された放射性物質が到達したときの、空気中の汚染がかなりのものであったことが証明される。

また、その後も、セシウム136、テルル129、テルル132、ヨウ素132、ヨウ素133等々のような、そのほかの放射性物質の広範な崩壊もおこった。クセノン133やクリプトン85のような放射性ガスもこれに含まれるが、これらは地中には蓄積しなかった。

以上から、この街の住民は、最初に汚染空気の吸い込み、そして特に、放射性物質の堆積が原因とする汚染食物摂取によって、かなりの内部被ばくをすでに受けたことになる。実際、日本政府は、3月21日および3月23日になって、ようやく、福島県における食物摂取制限を発布した(食物の種類による)。住民は、一週間以上、なんの制限や情報もないまま、高汚染の食物を摂取していたことになる。このため、住人達は、数十ミリシーベルトの線量にさらされ、甲状腺は、1シーベルト以上の量を受けた可能性もある。

参考までに、当初のヨウ素131によるホウレンソウ汚染量は、原発から100km南では、低年齢児が200グラムの摂取をしたとすれば、年間1ミリシーベルトの年間許容量を超えてしまい、原発北西40kmでは、植物の汚染があまりにも高いため、5グラムの野菜を摂取するだけで、年間上限値に達してしまうほどであった。

これら住民が、すでに受けた被ばく量について信頼できる数値を得ることが不可欠であり、あらゆる手段を講じて、今後の被ばく量をさげていくことが急務である。

2.広範囲に広がる降下物地域

放射性物質の降下は非常に広範囲にわたり、立ち入り禁止の20km圏外はもちろんのこと、福島県をまたいで広がった。汚染空気団は、気象条件に左右されながら、数百kmにわたって移動し、降水(雨、雪)によって、放射性物質を含んだ粒子が地面に降下した。セシウム134,137を含んだ堆積物は、長期間の汚染を引き起こす。

このことは、採取された土壌や、また、CRIIRADが2011年5月24日から6月3日にかけて行った線量計測(地上1m)(*2) によって、裏付けられている。実際の測定は次の通り:

宮城県丸森で毎時0.47μSv。原発から約60km北。計算によると自然放射線量(*3)は毎時0,1μSv。セシウム134、137降下物は、95 000Bq/m2以上(*4)。

茨城県日立市付近で毎時0,33μSv。原発から南へ約88km。自然放射線量は毎時0,07μSv。セシウム降下物は、50 000Bq/m2以上。5月25日時点でもまだヨウ素131が検出された。

茨城県石岡で毎時0,28μSv。原発から、南南西へ約160km。自然放射線量は毎時0,06μSv。セシウム降下物は、48 000Bq/m2。

つまり、茨城県においても宮城県においても、人工放射線量が自然放射線量を4倍以上上回る地域が存在するということである。1日の50%を屋外で過ごす人にとっては、今後12カ月にわたって、放射線を余計に浴びるということであり、屋外から建物内に入り込んでくる放射線による外部被ばくや、汚染食物摂取による内部被ばく、浮遊している放射性粒子の吸い込みなどを除外しても、年間上限値1ミリシーベルトを超える可能性がある。

この結果は、フランス原子力保安局 (ASN) が2011年6月28日に公式発表した「敷地外では、環境中の放射線量は下がり続けている。6月7日の福島では、線量は毎時1,6μSv。そのほか45都道府県の線量は、毎時0,1μSv以下である」という情報と矛盾する。

・東京都では、残留放射線による外部被ばくのために、無視できない線量に達する可能性がある。例えば、CRIIRADは、6月初旬には東京の和田堀公園(原発から約235km)で、毎時0.14μSvを測定した。この公園では、自然放射線は毎時0,06μSvで、セシウム降下物は14 000Bq/m2である。地域全体のデータが必要とされる。

CRIIRADが、日本国民は全国的な放射性降下物、残留汚染の詳細で充分正確なマップを要求するべきだと考えているのはこのためである。正確なマップとは、セシウム降下物を1,000Bq/m2から記載しているものであり、2011年5月6日発行のマップのように、300,000Bq/m2以上からの記載ではない。

*2: クリスチャン・クルボン、ブルノ・シャレロン(CRIIRADラボ)、イワタ・ワタル(NPO法人 47プロジェクト)が、ベルトール社製の型比例計数管LB123を使って測定。

*3: 東京を含めて広範囲に汚染が計測可能値であるため、汚染がない場合の自然放射線量を確定するのは難しい。土壌分析により、ガンマ線を放出する自然放射線核種の量の計測が可能になり、CRIIRADで自然放射線の理論値(テルル組成物や宇宙線)を再計算した。

*4: 手を入れていない平地で標本した人参地層(訳注:2011.08.02訂正)サンプルの0-5cm層で計測したセシウム137,134濃度から算出した降下物量。この条件では、2011年3月に生成した堆積物量が正確に保存されていると思われる。 5-10cm層と2mm以上の部分の分析はまだ完了していないため、表面の放射線の活動値はデフォルトの暫定的推定である。


 ※ このレポートの翻訳はTwitterでの呼びかけに応えて頂いた読者の方によって行われ、当ブログ運営者が校正を行ったものです(全ての文責は当ブログ運営者にあります)。ご協力に改めて感謝いたします。また、他の読者の方からも広くご協力を受け付けています。ご興味のある方はこちらの記事をお読みください。

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