IRSN「福島第一原子力発電所での事故による放射性物質放出の海洋への影響・改訂版」2011年 5月13日付け、日本海洋学会訳


日本海洋学会によってIRSN海洋汚染報告改訂版の全訳が行われました。4月4日版の改訂版となります。

当ブログは仏原語との照合と校正を行い協力いたしました。全訳および解説のPDFは下記からダウンロードできます。

IRSN海洋汚染報告改訂版の全訳

IRSN海洋汚染報告改訂版の解説

当ブログは今後とも日本海洋学会と協力し、市民生活に有益な情報公開に努めていきます。

以下解説文を掲出します:

IRSN 報告 「福島第一原子力発電所での事故による放射性物質放出の海洋への影響」 改訂版(5 月 13 日付け)全訳の公開について

2011年8月23日 日本海洋学会震災対応WG

概要 本資料は、フランス放射線防護原子力安全研究所 (Institute de Radioprotection et de Sûreté Nucléaire、IRSN)が 2011 年 5 月 13 日付で公開した“Update : Impact on marine environment of radioactive releases resulting from the Fukushima-Daiichi nuclear accident”を日本語に翻訳したものである。英語版は、以下の URL で 5 月 20 日に公開され ている。

http://www.irsn.fr/EN/news/Pages/201103_seism-in-japan.aspx

なお、4 月 4 日付で公開された“Impact on marine environment of radioactive releases resulting from the Fukushima-Daiichi nuclear accident”の和訳は匿名翻訳ボランティア グループによって行われ、7 月 3 日に「福島第一原子力発電所での事故による放射性物質放 出の海洋への影響」4 月 4 日付 IRSN レポート全訳 ) として、公開されている。

https://genpatsu.wordpress.com/2011/07/03/irsn-rapport-avril/

5 月 13 日付改訂版の内容は、4 月 4 日付報告と同じく、海洋における放射性物質の広が り方についての一般向け解説であり、本WGの活動の趣旨と重なる部分も大きい。そこで、 本WGでは、その一般向け広報活動の一環として、和文翻訳を行ない、解説記事を付けて 一般に紹介することとした。

英文からの和訳作業は、日本海洋学会震災対応WGの呼びかけに応えた日本海洋学会会 員有志によって行われ、震災対応WG担当者が校正した。なお、仏文を基にした校正は、 匿名翻訳ボランティアグループの協力を得て行なわれた。監修は、著作権を保有するIR SNより翻訳および図表使用の許可を受けた震災対応WGが行なった。

5 月 13 日付改訂版の全訳(pdf)は以下のURLで公開されている。 http://www.kaiyo-gakkai.jp/sinsai/IRSN_report_j_20110513.pdf

解説・補足説明 IRSN 報告 5 月 13 日付改訂版の和訳を公表するに当たり、文中で使われている用語の中

で日常的な用法と微妙に異なる語句の解説と、IRSN 報告の内容についての補足説明を以下 に述べる。

解説(海の流れと海流)

「海の流れ(海水流動)」とは一般的な海水の移動の総称である。海水流動のなかで、世 界各地の表層を水平方向に流れている流れで、特に、いつもほぼ同じ経路を通って、ほぼ 同じ向きに流れている成分のことを「海流」と呼ぶ。日本近海では、黒潮、親潮、黒潮続 流、対馬暖流などがこれに該当する。

他方、1 日に 2 回繰り返す干潮と満潮に伴って生じている海水流動を「潮汐流」と呼ぶ。 海水流動には、「海流」、「潮汐流」のほかに、海面の風で引き起こされる「吹送流」、河口 域などでの密度の違いによって生じる「密度流」、風波や潮汐流などの種々の要因で発生す る「乱流」、「渦流」などの各種変動成分が含まれている。

解説(分散と拡散)

海水中の物質は海水とともに移動する。この移動過程の中で、平均的な流れによって運 ばれて広がる過程を「移流」と呼ぶ。これに対し、乱流や渦流のような変動成分によって 周囲の水と混合することによって広がる過程を「拡散」と呼ぶ。平均的な流れがない場合 でも、海中の物質は高濃度域から低濃度域に向かって「拡散」によって徐々に広がる。

海水中の物質は、実際には、周囲の海水と混合しながら平均的な流れによって運ばれる。 このように、「移流」と「拡散」の双方によって物質が海中に広がる過程を「分散」と呼ぶ。 なお、高濃度の海水が周囲の低濃度の海水と混合して濃度が低くなることを希釈という。

補足説明(生物への影響)

セシウム137は半減期が約30年と長いので,環境中に長期間残留し食物連鎖を通して多 様な海洋生物に蓄積することが予想される。海水-魚介類間の濃縮係数は数十倍から百倍 程度と見られている。PCBs(注:ピーシービー)等と比べるとセシウムの濃縮は 2~3 桁 ほど低い。しかし,海洋へ大量の高濃度汚染水が放出されたことにより、海域によっては 海水中や海底土中の放射性セシウム濃度が比較的高い状態が続き、その影響が生体に及ぶ 可能性もある。海水および多様な生物種(プランクトンから海鳥・海棲哺乳動物まで)に ついて長期モニタリングを実施し,汚染の実態と動向を理解する必要がある。

補足説明(福島原子力発電所の沖合沿岸域の流れ)

IRSN 報告では「沿岸域では、流れは潮汐、風、そして太平洋海洋循環によって生成され ている」と述べている。しかし、福島原子力発電所沖の沿岸近くの流れは、基本的には、 地元では真潮と呼ばれている南へ向いている流れである(北流は逆潮とよばれている)。も っと沿岸近くでは海浜流が重要になる。なお、分散シミュレーションにおける問題点、課 題につては、以下の資料を参照されたい。

日本海洋学会震災対応WGモデリング・サブグループからの提案

http://www.kaiyo-gakkai.jp/sinsai/2011/05/post-6.html

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